全般の設定を指定する
ここでは、GNOME デスクトップ環境の全般に影響する変更不可の値またはデフォルト値の指定方法について説明します。
- 1.6.1. HTTP プロキシを指定する
- 1.6.2. プリンタ・マネージャを設定する
- 1.6.3. ワークスペースの個数を指定する
- 1.6.4. キーボードの操作性を設定する
- 1.6.5. キーボード・ショートカットを指定する
- 1.6.6. パネルとパネル・オブジェクトを設定する
1.6.1. HTTP プロキシを指定する
HTTP プロキシの設定を指定する際は /system/http_proxy/ という場所にある設定キーの値を変更します。例えば、HTTP プロキシとして強制する変更不可のホストを指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory \
--type string \
--set /system/http_proxy/host プロキシの名前
そして、HTTP プロキシのホストにデフォルトの値を指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults \
--type string \
--set /system/http_proxy/host プロキシの名前
さらに HTTP プロキシに関連する他の設定も指定できます。これらの設定について詳細は system_http_proxy.schemas というスキーマの定義ファイルを参照してみてください。
1.6.2. プリンタ・マネージャを設定する
プリンタ・マネージャを設定する際は /apps/gnome-print-manager という場所にある設定キーの値を変更します。例えば、他のユーザが要求した印刷ジョブを一緒に表示させたくない場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory \
--type bool \
--set /apps/gnome-print-manager/show_all_jobs false
そして、デフォルトの値を指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults \
--type bool \
--set /apps/gnome-print-manager/show_all_jobs false
さらにプリンタ・マネージャに関連する他の設定も指定できます。これらの設定について詳細は gnome-print-manager.schemas というスキーマの定義ファイルを参照してみてください。
1.6.3. ワークスペースの個数を指定する
ワークスペースの個数を固定にする場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory \
--type int \
--set /apps/metacity/general/num_workspaces 整数値
そして、ワークスペースのデフォルトの個数を指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults \
--type int \
--set /apps/metacity/general/num_workspaces 整数値
さらにウィンドウ・マネージャに関連する他の設定も指定できます。これらの設定について詳細は metacity.schemas というスキーマの定義ファイルを参照してみてください。
1.6.4. キーボードの操作性を設定する
キーボードを使った操作性を設定する際は /desktop/gnome/accessibility/keyboard という場所にある設定キーの値を変更します。例えば、強制的にキーボードのアクセシビリティの機能を有効にする場合のコマンドは次ような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory \
--type bool \
--set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable true
そして、デフォルトの値を指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults \
--type bool \
--set /desktop/gnome/accessibility/keyboard/enable false
さらにキーボードの操作性に関連する他の設定も変更できます。これらの設定について詳細は desktop_gnome_accessibility_keyboard.schemas というスキーマの定義ファイルを参照してみてください。
1.6.5. キーボード・ショートカットを指定する
キーボードのショートカットを設定する際は /apps/metacity/global_keybindings という場所にある設定キーの値を変更します。例えば、Alt+F3 というキーボード・ショートカットだけを使って「アプリケーションの起動」ダイアログを開きたいという場合です。これを変更不可の設定として指定する場合のコマンドは次のような書式になります:
gconftool-2 --direct \
--config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory \
--type string \
--set /apps/metacity/global_keybindings/panel_run_dialog '<Alt>F3'
さらに他のキーボード・ショートカットも設定できます。これらの設定について詳細は metacity.schemas というスキーマの定義ファイルを参照してみてください。
1.6.6. パネルとパネル・オブジェクトを設定する
panel-default-setup.entries というファイルには、次に示すような GNOME デスクトップ環境の詳細が記述されています:
- パネルの個数
- パネルのいろいろな種類
- パネルのいろいろなプロパティ
- パネルのいろいろな内容
パネルやパネル・オブジェクト毎に設定するのは複雑な作業です。これらを設定する際は、まず最初に panel-default-setup.entries ファイルの構造を理解しておく必要があります。この panel-default-setup.entries ファイルについて詳細は次のセクションをご覧ください。
パネルやパネル・オブジェクト毎に設定を行うには、設定ソースの中にあるたくさんの設定項目の値を指定しなければなりません。パネルの設定値を指定する一番簡単な方法は gconftool-2 コマンドに --dump と --load というオプションも一緒に指定して使用するというものです。パネルとパネル・オブジェクトの設定値を指定する方法について詳細は「セクション 1.6.6.2 - パネルやパネル・オブジェクト毎の設定値を指定する方法」をご覧ください。
- 1.6.6.1. パネルやパネル・オブジェクトを指定する方法
- 1.6.6.2. パネルやパネル・オブジェクト毎の設定値を指定する方法
1.6.6.1. パネルやパネル・オブジェクトを指定する方法
panel-default-setup.entries というファイルの中身はいくつかのセクションに分かれており、それぞれいろいろなパネルやパネル・オブジェクトを表しています。この panel-default-setup.entries ファイルにはスキーマ・キーに応じた値を指定します。この panel-default-setup.entries ファイルは /etc/gconf/schemas フォルダの中にあります。
この panel-default-setup.entries ファイルの構造は次のとおりです:
-
GNOME デスクトップ環境でパネルやパネル・オブジェクト全般の構造を指定するキーで、次に示すキーはそれぞれ GNOME デスクトップに表示されるパネルやパネル・オブジェクト、アプレットの個数を表しています:
- /apps/panel/default_setup/general/toplevel_id_list
- /apps/panel/default_setup/general/object_id_list
- /apps/panel/default_setup/general/applet_id_list
このキーはさらにパネルやパネル・オブジェクトやアプレットの識別子も割り当てます。例えば、panel-default-setup.entries ファイルの中にある次のセクションは GNOME デスクトップの中に表示されているパネルの一つを表しています:
<entry> <key>toplevel_id_list</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/general/toplevel_id_list</schema_key> <value> <list type="string"> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </list> </value> </entry>
このセクションの中にある bottom_panel という識別子が「ボトム・エッジ・パネル」を表しています。
-
パネルのプロパティを表すキーで、次のような構造になっています:
/apps/panel/default_setup/toplevels/パネルの名前/プロパティのキー
例えば /apps/panel/default_setup/toplevels/bottom_panel/size というキーはボトム・エッジ・パネルの大きさを表しています。
-
パネル・オブジェクトとそのプロパティ、そしてパネル・オブジェクトを格納しているパネルなどをまとめて定義するキーです。例えば panel-default-setup.entries ファイルの中にある次のセクションは、ボトム・エッジ・パネルの左端にある「メイン・メニュー」というオブジェクトを表しています:
<entrylist base="/apps/panel/default_setup/objects/main_menu"> <entry> <key>object_type</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key> <value> <string>menu-object</string> </value> </entry> <entry> <key>toplevel_id</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </entry> <entry> <key>position</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key> <value> <int>0</int> </value> </entry> <!-- Possibly more entry elements --> </entrylist>
-
アプレットとその設定、そしてアプレットを格納しているパネルなどをまとめて定義するキーです。例えば panel-default-setup.entries ファイルの中にある次のセクションは、ボトム・エッジ・パネルの中にある「ウィンドウの一覧」アプレットを表しています:
<entrylist base="/apps/panel/default_setup/applets/window_list"> <entry> <key>object_type</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/object_type</schema_key> <value> <string>bonobo-applet</string> </value> </entry> <entry> <key>toplevel_id</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/toplevel_id</schema_key> <value> <string>bottom_panel</string> </value> </entry> <entry> <key>position</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/position</schema_key> <value> <int>2</int> </value> </entry> <!-- Possibly more entry elements --> <entry> <key>bonobo_iid</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/bonobo_iid_type</schema_key> <value> <string>OAFIID:GNOME_WindowListApplet</string> </value> </entry> </entrylist>
OAFIID はアプレットを識別するために使用する重複しない文字列です。特定のアプレットの OAFIID を検索するには、/usr/lib/bonobo/servers フォルダにあるそのアプレットの .server ファイルの中身をご覧ください。例えば GNOME_Wncklet_Factory.server というファイルから抜粋した次のデータにある OAFIID はウィンドウの一覧アプレットを表しています:
<oaf_server iid="OAFIID:GNOME_WindowListApplet" type="factory" location="OAFIID:GNOME_Wncklet_Factory">
1.6.6.2. パネルやパネル・オブジェクト毎の設定値を指定する方法
パネルやパネルの上に表示されているパネル・オブジェクトの設定値を指定する手順は次のとおりです:
-
GNOME のセッションにログインして、必要なパネルを設定する
-
gconftool-2 コマンドラインに --dump というオプションを指定して、設定するパネルの XML 定義をファイルに出力する (--dump オプションを指定すると、指定した GConf リポジトリに格納されているすべての設定キーの一覧を生成する)
例えば、次のコマンドラインを実行すると、パネルのデフォルト設定に関する XML 定義を my-panel-setup.entries というファイルに出力する:
gconftool-2 --dump /apps/panel > my-panel-setup.entries
-
この my-panel-setup.entries ファイルをテキスト・エディタなどで開いて、必要な箇所を変更する
例えば、デスクトップ・エントリのファイル名を変更したいとすると:
<entry> <key>objects/object_16/launcher_location</key> <schema_key>/schemas/apps/panel/objects/launcher_location</schema_key> <value> <string>hadjaha-00adce02f7.desktop</string> </value> </entry>
--dump オプションで生成したファイルの抜粋にある hadjaha-00adce02f7.desktop という箇所を、別のデスクトップ・エントリのファイルに変更する
--dump オプションを使ってパネルの設定情報をファイルに出力すると、パネル・オブジェクトが表示される位置は絶対座標で出力されてしまうので、この座標を相対座標に変更したくなるかもしれません (例えば、パネルの左端にあるオブジェクトの position キーの値は 0 になり、その隣にあるオブジェクトの position キーの値は 1、以下同様); オブジェクトの位置をパネルの右端からの相対座標にしたいのであれば、right_stick キーの値を true にすること
-
gconftool-2 コマンドラインに --load というオプションを指定して、ここで編集した my-panel-setup.entries ファイルの内容をデフォルトの設定ソースとして読み込ませる; 例えば、次のコマンドラインを実効するとデフォルトの設定ソースにあるキーの値に、my-panel-setup.entries ファイルから読み込んだ値をセットする:
gconftool-2 --direct \ --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.defaults \ --load my-panel-setup.entries